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節税のプロによる最強節税ガイド

節税

ASIを利用したアップルのコストシェアリング節税がすごい!

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昨今、欧米では多国籍企業の節税が問題視されています。

例えば、記憶に新しい話で言えば・・・

スターバックスのイギリスでの不買騒動です。

これは「スタバ全然イギリスで税金納めてねぇじゃん!」というのが明らかになって起こったものでした。

 

 

節税が問題視されて、税制改正が何度も行われてきたのが世の歴史です。

アップルは、コストシェアリングを利用して、上手に節税しました。

感心するほど上手なアップルのコストシェアリングを見ていきます

 

ASIを利用したアップルのコストシェアリング節税がすごい!

アップル社は、関連企業との間でコストシェアリングを採用しています。

コストシェアリングを簡単に説明すると、

  • 研究開発を行う際に、複数の会社で費用を出す
  • 事業利益を、出資した会社間で分け合う

という方法です。

これは一見、どこにでもあるシンプルな方法です。節税でもなんでもありません

しかし、アップルはこの方法を節税スキームとして採用しました。

さすがスティーブ・ジョブズ!

利益の場所をシフトさせ、納税義務のある場所をシフトさせました。

結果、節税です。

jこの魔法のようなアップルのコストシェアリングの活用方法を煮ていきます。

 

 

備考

アップルの節税は、コストシェアリング 一つで成立するほどシンプルなものではありません。

色々な方法を組み合わせています。

今回はコストシェアリング について重点に話を進めますが、「コストシェアリング も数あるスキームの中の1つだよ」ということをご理解いただければ幸いです。

iPhoneもそうですが、「様々な技術を組み合わせて、1つのものを作るのが上手だな」と感心させられます。

 

アップルがコストシェアリングにより逃れたお金

アップルは、アイルランドの関連会社アップル・セールス・インターナショナル(以下、ASI)とコストシェアリング契約を交わしています。

それにより逃れた税金は下記です。

 

コストシェアリング によりアップルが逃れたお金

  • アメリカ→アイルランドへ利益を移す際に発生する税金
  • 本来アメリカで納める予定だった納税額の一部

 

アメリカ→アイルランドへ利益を移す際に発生する税金

アップルは、アメリカからアイルランドへタダで利益を移しています

グループ会社とは言え、会社間で無料で利益を移すことはアメリカでは減速できません。

それを合法的にタダでやったのですから、すごいことです。

 

本来アメリカで納める予定だった納税額の一部

「税金の逃し先がなぜアイルランドなのか?」という話ですが、アイルランドは法人税が安い国だからです

「アメリカで納税するくらいならアイルランドで!」という感覚です。

しかし、アップルの場合はもっと賢く、アイルランドでの納税もたくさん逃れています。

それは、ASIは無国籍企業だからです。

アイルランドから見れば、アイルランドにいない国ですので、アイルランドでの納税義務がありません。

そうやってアイルランドでの納税を逃れることができます。

 

→ 無国籍企業について詳しく説明したページはこちら

 

実際、ASIは、アイルランドで気持ちばかりの納税を行なっています。

アイルランドでの売上分に対しては、アイルランドで納税しました。

 

ASIについて

アップル・セールス・インターナショナル

 

今回、話の中心となるのがASIです。

ASIはアイルランドにあるアップルの関連会社です。

欧州、中東、アフリカ、インド、アジアの市場を担当しています。

実質的な管理はアメリカで行なっているので、アメリカから見てもアイルランドから見ても、非居住の法人になります。

つまり、無国籍企業です。

これにより、アメリカでもアイルランドでも法的な納税義務はありません。

ASIの特徴を下記にまとめました。

 

ASIとは

  • 担当市場は、欧州、中東、アフリカ、インド、アジア
  • 2012年以前は取締役の過半数がアップル社の従業員で占められていた。ほとんどの取締役会はカリフォルニアにて開催
  • つまり、実質はアメリカにて管理・支配。そのため、アイルランド税法上の居住要件を満たしていない
  • 同時に、アメリカの居住要件も満たしていない。つまり無国籍企業
  • 2012年のアイルランドにおける子会社の再編成で、250人の従業員が割り当てられた
  • しかし、それでも、アイルランド税法上、居住者でないという立場を維持している。(管理と支配がアイルランド国外にあるので)

 

ASIはアイルランドに法人税を納税していた

ASIは、アイルランドの税法上、アイルランドの居住企業ではありません。

なので、納税義務がありません。

しかし、それでもASIは、自社の所得に対しての法人税申告書を提出していました。

そして、法人税を納めていました。

その理由としては、「アイルランドの顧客に販売した製品の利益分については納税するよ」とのことです

例えば、2011年は、220億ドルの売上げに対して、1000万ドルを納税しています。

2010年にも、120億ドルの所得に対して700万ドルの税金を納めています。

 

納税額が足りないとの声も

ASIは確かにアイルランドで納税しました。

ASIの収入は2009から2012年の4年間で約740億ドルです。

しかし、「その割には納税額が少ない」というのがアメリカ議会上院報告書から見て取れます

 

ASIの担当業務

ここで、ASIという会社が、どんな業務を行なっているかを見ていきます。

ASIの業務内容としては「無在庫転売」をイメージするとわかりやすいです

ASIは、「別会社にApple商品の組み立てを依頼する」「完成品を在庫せずに他の会社(各地域)に再販売する」という業務を行なっています。

下記、ASIの業務の詳細です。

 

ASIの業務の詳細

  • Apple製品は、中国のサード・パーティによって組み立てられる
  • 中国サード・パーティとApple製品の契約を交わしているのはASI
  • 契約書類に署名する人物は、アメリカ・アップル社の従業員かつ、ASIの取締役
  • ASIは、完成品の最初の所有権を取得する(中国サード・パーティから完成品を最初に購入する)
  • ほとんどの場合、ASIがApple完成品を物理的に所有することはない
  • 購入した完成品は、適切な販売担当子会社に転売する
  • 例えば、欧州で販売する場合、ADIに販売する
  • ADIはさらに、欧州各国にある小売子会社や、サード・パーティの再販業者、インターネットの顧客に直接転売する

 

ASIを利用したコストシェアリング

いよいよアップルの魔法を紐解きます。コストシェアリングの話です。

アップル社がASIとの取引で採用したのが、コストシェアリングです。

コストシェアリングとは、日本語で言う費用分担契約です

商品開発などの費用を当事者間で分担し、その開発活動等から生じる新たな利益やリスクなどを当事者間でシェアします。

 

費用分担契約とは、特定の無形資産を開発する等の共通の目的を有する契約当事者間で、その開発活動等において必要となる特定の費用(研究開発費用やマーケティング費用等)を、その開発活動等から生じる新たな成果によってもたらされる各契約当事者各々の将来の期待便益割合に応じて分担することにより、開発活動等に伴うリスクとその活動から生み出されるリターンをシェアすることを定める契約のことをいう。

KPMGより引用

 

コストシェアリングにより、アップル関連会社がアップルの知的財産の法的権利をゲットした

ASIその親会社であるAOEは、アップル社とコスト・シェアリング契約を締結しています。

本来、アップルグループの有する知的財産の法的権利は、アップル社が”唯一の所有者です

しかし、コストシェアリングにより、ASIもAOEも、担当地域にてApple製品に関する経済的な知的財産権を保有しています。

また、その他のアイルランドの関連会社に対しても、「欧州、中東、アフリカ、インド、アジアで販売されるApple製品の知的財産の経済的権利の所有」が認められています。

 

アップルのコストシェアリングスキームの詳細

アップルのコストシェアリング スキームの詳細は下記です。

まずは、研究開発費をシェアしました。

 

研究開発の費用分担の詳細

  • アップル社はまず、研究開発活動の費用の全額を負担する
  • 次に、アップル社とASIは、それぞれの負担すべき費用を計算し、清算する
    (費用負担の比率は、それぞれが担当する地域で計上される製品の、売上の比率に基づきます)

 

研究開発費の内訳は下記です

 

アップルとASIの研究開発費の内訳

  • 2011年、アメリカで行われたApple製品の研究開発の費用総額は24憶ドル
  • このとき、アップル社が10億ドル(約40%)を、ASIが14億ドル(約60%)を負担
  • これは、アップル社とASIが、それぞれ担当する地域の売上げの割合に基づいたもの

 

Apple製品の大部分はアメリカで研究開発されている

研究開発の費用は、アップル社とASIで負担しています。

しかし、Apple製品の大部分は、カリフォリニアのアップル社の従業員により、研究開発が進められています。

エンジニアや製品設計の専門家、技術専門家の大半は、物理的にカリフォルニアで勤務しています。

ASIやAOEの従業員は、全体のわずか1%未満のR&Dにしか関与していません。

実際、2011年、 Apple全体のR&Dの95%がアメリカで行われていました。

「費用は共同で、研究はアメリカで」

これがアップルのやり方です。

共同研究というよりも、費用の負担先をアレンジしているだけなのがわかります

 

ASIは出資額の割に所得リターンが大きい

アップルのコストシェアリング は、費用の負担先を移し替えるのと同時に、所得移転も行なっています。

2009年から2012年の4年間で、ASIは約50憶ドルの費用を負担しました。

得た税引き前利益は、740億ドルです。

これはつまり、約15倍のリターンを得ていることを意味します。

 

費用 所得 費用対所得
50億ドル 740億ドル 約15倍

 

同じ4年間で、アップル社は、40億ドル費用負担しました。

得た所得は、290憶ドル。リターン率は7倍ちょっと。

 

費用 所得 費用対所得
40億ドル 290億ドル 約7倍

 

ASIより遥かに低い倍率となっています。

表にするとその差がわかりやすいです。

 

費用 所得 費用対所得
ASI 50億ドル 740億ドル 約15倍
アップル 40億ドル 290億ドル 約7倍

 

アップルのコストシェアリングをまとめると

もし、アップルがコストシェアリングを行なわなかったら

  • アップル社で研究開発費用を捻出する
  • アップルの所得が100%アメリカに残る
  • アメリカで納税する

という形になっていたことも考えられます。

しかし、コストシェアリングを採用することで、

  • 研究開発費をアップル社とASIで捻出する
  • 所得がアメリカとアイルランドに分散される
    (節税の成功1)
  • 本来アメリカ→アイルランドへ移す際に発生する課税を避けることができる
    (節税の成功2)

という風になりました。

すごい技です。

ちなみに、アップルはASIは無国籍企業という形を取ることにより、アイルランドでの課税も節税しています。

 

最後に

アップルのコストシェアリング を活用した節税術でした。

アップル社がアイルランドと懇意にしている理由、そしてさりげなく利益の場所を移している理由がわかります

アメリカ国家としては当然、税金が欲しいです。

なので、こういった節税に対して目を見張っているのが現状で、税に関する法律は日々変化していっています。

しかし、企業にとっては節税は立派な経営の一つで、必要なことです。

節税をしっかり勉強して、自分の会社や就業員、その家族を守っていきましょう!

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